ウェイトトレーニングシリーズ、スクワットの解説です。スクワットはキングオブエクササイズと呼ばれ、陸上競技に限らず、多くのスポーツで採用されているトレーニングの1つです。下半身を支える殿筋群や大腿筋群はもちろん、体幹部の筋群も効果的に鍛えることができます。
しかし、しゃがんで立ち上がるだけの簡単な運動に見えるスクワットですが、フォーム次第で効果は大きく変わってきます。目的次第で採用するフォームが違うと考えてよいでしょう。目的を理解せず行っていると、効果が半減するだけでなく、怪我の可能性もある種目でもあるのです。
まず、スクワットを行う目的を確認すると、陸上競技のパフォーマンスを向上させることになります。つまり、スクワットは目的ではなく、スポーツに活かすための手段になります。逆にスクワット自体が目的となる場合があります。それは、どれだけ重量を持ち挙げられるかを競う、パワーリフティングやウェイトリフティングです。これらの競技は、目的が重量を持ち挙げることなので、持ち挙げることに適したフォームを採用することになります。また、筋肉を発達させることを競うボディビルにおいては、筋肉に効かせることが目的となり、狙った筋肉を大きくさせるのに適したフォームでスクワットを行います。
話を戻すと、陸上競技のパフォーマンス向上のためのスクワットは、殿筋を中心としたポステリアルチェーン筋群の強化と怪我をしにくい体づくりに適したフォームだと考えています。持ち挙げる重量はあくまで目安であり、フォームが優先されます。
まずは、いきなりバーベルなどの重量を使わず、自重で練習しましょう。その際、椅子などがあるとよいです。手順としては、
➀足は肩幅より少し広く開き、つま先も少し外に向けます。
②動作中は踵に体重をかけます。
③しゃがむ際には、お尻を斜め後ろに突き出すようにします。椅子があればそのまま座ってもよいです。
④立ち上がる際は、反動を使ったり、つま先に体重をかけたりせず、あくまで踵に体重を乗せ、殿筋に最大限の意識をおきます。
自重でフォームができれば、バーベルなどを使い、バックスクワットに移ります。フォームのポイントは自重と同様になります。
しかし、このようなフォームで行うことは難易度が高く、殿筋群の筋力やハムストリングスの柔軟性などが必要不可欠になります。しゃがむ際にどうしてもお尻を後ろに突き出せず、膝が前方に移動したり、上半身が過度に前傾してしまう場合には、殿筋群が弱いことが予想できます。そういった場合は、スクワットを無理に行う必要はないと考えています。あくまで手段であるため、正しいフォームでできる種目を行ってください。HT(ヒップスラスト)やレッグプレス、RDL(ルーマニアン・デッドリフト)などで、必要な筋力や柔軟性を高めてから、スクワットに挑戦しましょう。
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