個別最適化練習法

コーチング

 個別最適化とは、個々の対象や要素に対して最適な状態や条件を見つけ出すプロセスやアプローチを指します。個別最適化の概念は、様々な分野で使用されています。スポーツや教育の分野においては、個人やチーム別の課題や環境に応じて、練習方法を選択します。これまでの学校教育では、一斉学習が主に行われてきており、全員が同一の学びに向かうという形態がメインでした。例えば、クラス全員がほぼ同じ学力を有する集団であったり、部員全員がスポーツ推薦で入学し、同等の体力や技能を持つ場合は、集団のレベルだけを考え、指導であったり練習をしていても大きな問題は発生しないことが多いでしょう。しかし、価値観や能力が多様化していく現代においては、全員が同じ学習や練習をすることは、適切でない場合がほとんどです。

 同じ組織でも能力差が大きい公立学校などで結果を出す指導者は、練習の個別最適化を測っています。つまり、個々の課題に応じた練習を自分で選択させ行わせているのです。これは、指導者が1人1人に個別の練習メニューを指示するということではありません。個々の課題は究極、自分にしかわからないからです。この自分で課題を見つけ、解決方法を選択するという能力は、スポーツに限らずどの分野でも求められる能力でしょう。スポーツ推薦のある強豪校であっても、指導者の指示待ちの選手は長い目で見て、大きく成長するのは難しいです。

 陸上競技において個別最適化練習とは、時間制で練習を組み立てることがポイントです。中学校など体力レベルに大きな差がある場合は、例えば、腕立て伏せ30回というメニューを出しても、楽にできる選手とできない選手がいます。楽にできる選手にとっては、30回ではトレーニングにならないのです。よって、腕立て伏せ5分というメニューします。その5分でどのように腕立て伏せをするかは個々に任せます。筋力レベルが高い選手は100回やるかもしれませんし、さらにプレートを背中に乗せ、負荷を増やしてやるかもしれません。逆に筋力レベルが低ければ、20回でもよいわけです。

 球技などのチームスポーツでも、指導者が全て指示を出すのではなく、ゲームが終わったら、選手でミーティングをさせます。選手同士で課題を出させ、解決の練習方法を選択させます。チームの最適化を選手主体で行うことは、これまでの命令指示型のトップダウン的な組織運営とは一線を画します。

 ここまで個別最適化について述べてきましたが、全てを選手に任せるという放任とは、似て異なります。あくまでも学生なので、知識や経験は指導者の方が豊富です。よって、課題解決のための原理原則は教える必要があります。学習した原理原則から、何をどう使うかは、選択させるのです。その上で方向性が間違っていれば、助言やアドバイスを適宜いれていくことになります。そして、原理原則を学ぶツールとして、陸上競技「心・技・体」の教科書が存在しているのです。

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