骨盤前傾と肉離れ

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 スプリンターに起こりやすい怪我の1つにハムストリングスの肉離れがあります。以前の記事でも、肉離れの原因と対策をいくつかあげましたが、今回は、また別の要因から考えていきます。

 その要因とは、骨盤の前傾です。

 骨盤の前傾とは、文字通り、骨盤が前に傾いている状態です。腰が反っているように見えます。逆に後ろに傾いていたら、骨盤の後傾といいます。

 骨盤の前傾がなぜ、肉離れの要因のなるかというと、前傾することで、ハムストリングスが過剰に伸ばされてしまうからです。また、骨盤前傾位で地面を蹴ると、後ろで足が回りやすく、引き戻す際にもハムストリングスに負荷がかかることが予想できます。実際に、肉離れを起こしてしまった選手の走りを分析すると、骨盤の前傾が見られたそうです。

 また、骨盤前傾、後傾と、骨盤が不安定な状態になると、骨盤の回旋可動域に制限がかかります。地面に力を加えにくくなるだけでなく、代償動作という、制限のある動きを補う動作を無意識に行います。例えば、体幹側屈(身体を横に傾ける)や下腿内旋(ニーイン)などです。これらの動きは、身体にとって望ましい動作ではないため、別の故障を起こしたり、さらに骨盤を不安定にします。

 では、骨盤の前傾を制御し、ニュートラルな状態をつくるにはどうしたらよいでしょうか。

 まずは、骨盤を前傾させる作用のある筋が過剰に硬くなくならないようケアをします。前傾に関わる筋群は、主に、腸腰筋大腿四頭筋、脊柱起立筋(腰の筋肉)です。走っていて、前腿や腰が張りやすい場合は、前傾している可能性が考えられます。これらの筋は、疲労しやすため、ストレッチセルフマッサージをしましょう。

 次に、骨盤前傾位から、ニュートラルな状態に戻す筋群を活性化させましょう。それらの筋群は、腹筋下部殿筋群です。プランクなどのコアスタビリティを行う際は、骨盤をニュートラルな状態をつくるよう意識します。

 以上のように、骨盤が安定した状態をつくることは、肉離れなどの怪我を予防し、パフォーマンスも向上させます。日々のトレーニングやケアで、骨盤の前傾を防ぐという視点を持つようにしてみてください。

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