トレーニングの原則

 今回は、競技力向上に繋げるためにとくに押さえておきたい3つのトレーニングの原則について。原則とは、多くの場合に共通に適用される基本的なきまりのことです。今行っているトレーニングが競技力向上に繋がっているのか迷いがある場合、原則に基づいているか、確認してみるとよいでしょう。

 1つ目は、漸進性過負荷(ぜんしんせいかふかの原則です。体力向上を引き起こすためには、身体が日常的に受けている(慣れている)刺激を少しだけ超えるような刺激(=過負荷)を身体に加える必要があります。そして、継続的に体力を向上させるためには、トレーニング負荷を少しずつ増やしていきましょうというきまりです。下の絵を見てください。

 ウエイトトレーニングの起源としてよく挙げられるのは、「クロトナのミロ」の逸話です。イタリアのクロトナに生まれたミロは、子羊を担ぐ生活が日課となっていました。そのため、だんだん牛やミロの体格が大きくなるにつれて全身の筋肉を鍛えたとされています。

 例えば、現在30㌔の重量を使い、ウエイトトレーニングを行っているとします。はじめは30㌔がきついと感じていたとしても続けていると、楽にできるようになります。そうなるとこのまま続けていても、大きな向上は難しくなるので、35㌔に重量を上げてみるとよいでしょう。ただ、急にトレーニング量や重量を増やすと、怪我の原因にもなるので、少しづつ増やしていきましょう。

 2つ目は、特異性の原則です。身体にトレーニング刺激を与えると、それに対して特異的な適応が起こることをいます。つまり、短距離をスピードを出して走れば、スピードが向上します。長距離走を走れば、長距離を走る持久力が向上します。ウエイトトレーニングをすれば、筋が肥大し、筋力が向上します。スクワットをすれば、下半身の筋力が向上します。要するに「やったものが向上して、やっていないものは向上しない」ということです。よく野球部の部員に「どうすれば足が速くなりますか」と聞かれることがありました。野球の場合は、競技特性上、走る距離は短いです。よって30m~50mくらいをスピードを出して走ればよいはずですが、3キロ以上の距離をゆっくり走ったりしていました。もちろん野球に持久力が完全に不要とは言いませんが、足を速くするというのなら、短距離をスピードを出して走る方が特異的と言えるでしょう。

 3つ目は、バリエーションの原則です。エクササイズ・強度・量などを定期的に変化させる必要があることを言います。漸進性過負荷の原則だけに従ってトレーニングしていると体力向上に限界があります。よって、種目を変えたりして、身体に新しい刺激をあたえましょう。例えば、ヒップブリッジをしばらく続けていたので、今週はスクワットをやったり、両足ジャンプを片足ジャンプに変えたりします。

 メリットとしては、プラトー(停滞)を防いで、継続的に体力を向上できる。ケガ・病気・オーバートレーニングのリスクを低下させる。アスリートが心理的に飽きてしまうのを防ぐ。複数の体力要素をタイミングをずらして向上できる。逆にデメリットとしては、バリエーションが過剰だと、適応が起こらない/起こったとしても適応スピードが遅くなる。新しい刺激を受けるたびに筋肉痛になる恐れがある。新しいエクササイズのフォーム習得に時間がかかる→その間は適切な過負荷をかけづらい。ことなどがあげられます。

 万人に当てはまる絶対的に正しいトレーニングは存在しません。しかし、明らかに間違ったことをしないためにも、原則をよく理解して日々のトレーニングを行っていきましょう。

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