バトンパスの微細技術

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 4×100mRにおいて、バトンパスの精度は無視できない要素です。特に、リレー経験があまりない中高生のチームは、バトンパスを安定させるための練習を、試合直前だけではなく、年間を通して行うべきでしょう。

 今回は、バトン練習を行う際の微細技術をいくつか解説します。0.1秒を争う短距離種目においては、微差が大差になりますので参考にしてみてください。また、バトンパスの基本知識については、こちらを確認してください。

➀バトン合わせの際の助走距離について…意外と意識せず行っているケースもある気がしますが、決めておいた方がよいです。例えば、50mくらい走ってバトンパスをする場合、渡す走者はほぼトップスピードを出すことができます。しかし、実際のレースでは、120mほど走るわけでバトンパスをする時には、減速している状態になります。よって、練習では追いついていたのに、本番では遠いといったことが起こりがちです。特に100mが14秒前後くらいの走力の場合は、後半の減速が大きいため、注意が必要です。加速しきってしまう距離ではなく、25m~30mほどの助走でバトンパスをした方が本番でもうまくいきました。

②バトンをもらう走者の構え方…初心者に起こりがちですが、つま先を進行方向に向けていない場合があります。野球の盗塁のような構えになってるのです。野球の場合は帰塁があるため進行方向に向けておくことはできませんが、陸上は進行方向に向けましょう。当然、マークを確認するために、後ろを向いてはいますが、上半身はできるだけ正面に向けておき、顔だけ後ろを見るイメージがよいでしょう。上半身全体が後ろに向いていると、スタートがもたつくことがあります。また、前足に7割ほど体重をかけておき、後ろ足は踵を上げておきます。マークを確認したら、スムースに走り出せる構えをつくることが大切です。

③早出を防止する…本番に早く出てしまい、届かないということはよくあります。内側のレーンが気になってつられて出てしまうことが多い気がします。特に、外レーンで走る場合は頭に入れておきましょう。つれらないためには、構えている時に、ぴたっと静止しておくことを練習時から意識します。焦っていると、マークを確認する前から、身体が動いることが多いです。

④走順…4人の走力が拮抗している場合は、各適正に応じて走順を決めてよいでしょう。しかし、部員が少なく、4人の走力差が大きい場合もあります。走力差があると、バトンが届かないことが起こりがちです。よって、1つの考え方にはなりますが、速い順に並べるとバトンパスがうまくいきます。また、テークオーバーゾーンも30m使うのではなく、速い走者を長く走らせるために、もらう走者は、5mほど前に出ておくことも有効です。

⑤当日の風を見ておく…当日、バックストレートに強い向かい風が吹いている場合、2走は大きく減速する可能性があります。よって、風の強さに応じて、マークを1足長ほど短くした方がよいです。逆に、追い風ならマークを長くします。特に、2~3走間は風の影響を考慮して足長を調整する必要があります。

 これらのことを頭に入れておくと、バトンパスの精度は向上していくでしょう。また、日本代表短距離コーチの土江寛裕先生は、「バトンパスがうまくいくかは、4人の仲の良さ」とおっしゃっていました。日頃から、リレーメンバー同士でコミュニケーションをとり、お互いを信頼できる絆を深めていきましょう。

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