スランプ➀

コーチング

 スランプとは、パフォーマンスや成績の低下を指し、能力や技術が通常の水準に達しない状態のことです。心理的な要素や身体的な要素、またはその両方に起因することがあると一般的には言われています。

 競技を続けていると、なかなか自己記録が伸びていかないことがありますが、単純に停滞している状態はプラトーといいます。一方スランプの場合は、練習をしているにも関わらず、記録が低下してしまうという状態です。何か理由があり、スランプに陥るのだとは思いますが、はっきり原因を断定することは難しい場合が多いです。複数の要因が関係していることがほとんどで、解決策の一般化は困難だからです。よって、あくまで1つの可能性の参考程度にはなりますが、個人的なスランプに関する考えを述べていきます。

➀早熟型の伸び悩み⇒小学校や中学校で大活躍した選手が、その後伸び悩むということはよくあります。パフォーマンスを着き詰めていくと、個人の才能には限界があり、早い段階で伸び切ってしまったのかもしれません。しかし、どうもそうではないケースもあるようです。400mH日本記録保持者の為末大さんは、世界大会でメダルを獲得してから、スランプに陥ってしまったそうです。何をしても抜け出せないという辛い期間があったそうですが、その時をふりかえり、以下にように述べています。

 「スランプにはまって潰れてしまう選手とそうでない選手を乱暴に分けてみると、あの頃を忘れられるかどうかに尽きると思う。スランプにはまった時の苦しさは過去との比較にある。あの時の最高の動きが忘れられないから今の自分が苦しく思える。スランプではまり込む選手は、あの時に縛られている。

 輝いたあの日を忘れられなくて、今を生きていない選手はスランプにはまった時抜け出せなくなる。現在のあるがままの自分を認識して受け入れることが、スランプ脱却の足がかりとなる。」      引用:「為末大/note」

 恐らくですが、比較対象が過去に活躍していた自分になってしまうと、迷路にはまってしまう。あくまで今現在から見た、未来の自分と比較していきたいです。人生には春夏秋冬があると言われおり、良い時もあれば悪い時もあるのです。やまない雨はないのだと、気持ちを切らさず、自分を信じて耐える。結局はそれしかないのかもしれません。

②環境が合わない⇒中学から高校や、高校から大学など環境が変化するタイミングでスランプに陥ることがあります。これまでは自由に練習してきた人が、型にはまった練習になる。その逆で管理され練習してきた人が、フリーな環境での練習になる場合などが考えられます。ようするに、自分のペースで練習ができないということが問題になります。もちろん、完全に個人で活動する場合を除き、ある程度環境に適応し、合わせていく力は必要になります。しかし、事前にリサーチしたり、情報を得ておくことで、自分の考えに合った環境を選択することも大切です。その際、身近にいる指導者や親、友人などに意見をもらい、耳を傾けていってほしいと思います。また、チームメイトや指導者との人間関係を良好に保つことも必須です。成功の循環モデルでもあるように、関係の質は思考の質、結果の質に影響を及ぼします。このへんは指導者がリーダーシップを発揮し、アイディール型の組織をつくって欲しいところです。指導者の力量を見極め、環境を選ぶことも必要でしょう。

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