成功の循環

チームづくり

 陸上競技は、リレーや駅伝などを除くと、個人で行われるスポーツです。しかし、多くの人は、部活動やクラブチームなどに所属していることかと思います。組織に所属している限りは、陸上競技というスポーツであっても、チームワークや人間関係が競技力に及ぼす影響を考えなければなりません。大学4年時の日本インカレで、短距離チームが大活躍しました。リレー優勝や出場メンバーの多くが自己ベストを更新しました。この時のチームは、陸上競技に対するモチベーションが総じて高く、関係性がとてもよかったです。これは、単に友達として仲良しというものとは異なり、同じ志を持った仲間になれていたということです。人気漫画「スラムダンク」に登場する湘北高校をイメージするとわかりやすいかもしれません。

 組織内の関係性が、どのように結果成果に影響を及ぼすのか。マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が、組織の成功循環モデルとして以下のように提唱しています。

 成功のサイクルとは、まず「関係の質」を向上させることから始めます。互いを尊重し合える関係性を構築できると、「思考の質」が高まります。お互いを助け合う思考が生まれ、重要な情報やアイディアが共有されます。すると、「行動の質」が高まり、自発的に新たなチャレンジや助け合う行動が生まれます。行動の質が高まれば、「結果の質」が高まり、ますます組織の関係性が良くなるのです。

 逆に、失敗のサイクルとは、「結果の質」結果成果が出ていないところから始まります。結果が出ていないので、関係性も良くないはずですが、ここで「行動の質」を変えようとしてしまいます。結果を出すための行動目標を定めます。すると、行動目標を達成することのみに注力し、創造的な思考ができなくなります。「思考の質」が悪くなるのです。さらに、対立や命令、責任のなすりつけ合いや自己防衛がおき、「関係の質」はますます悪化。結果も伴わなくなるというサイクルです。

 「結果の質」を向上させるには、「行動の質」を向上させるよりも、まずは、「関係の質」から改善していくことが大切です。下のイラストで言うと、目に見える「行動」や「結果」は氷山の上です。そして、目に見えない感情や「関係の質」は氷山の下であり、大きな土台となっています。それは、個人であっても組織であっても変わらないのです。

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