もしもう1度やりなおすなら~大学編final~

もしもう1度やりなおせるなら

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 日本インカレ2日目。この日は、100m決勝と4×100mR決勝があります。4年間の集大成といえるレースになります。昨晩は、大会の興奮などもあり睡眠は深くありませんでした。朝起きて気づいたことは、まず筋肉痛がかなり強く出ているということです。やはり、自己最速のスピードで3本走っていることもあり、身体へのダメージは相当なものでした。ただ、今思えば、まだ走りが洗練されていないということも原因の1つです。技術的に言うと、膝下の振り出しが過剰で、地面をひっかくような動きをしています。ハムストリングスに負担が強い走りといえます。予選で足に違和感が出てしまったこととも無関係ではないでしょう。

 100m決勝に備えるためにアップを始めましたが、体はかなり重かったです。スパイクをつけてのダッシュもいつもより減らし、柔軟性を出すようなダイナミックストレッチを入れ、何とか走れる状態をつくるように努めました。

 そして、100m決勝の召集へ。周りには、かつてははるかに格上だった選手ばかり。高校時代を考えれば同じレースで走れるレベルではありません。しかし、4年かけ同じ舞台まで上がることができた。もうやることは今残っている力を出し切ることしかありません。余計な思考は一切なくスタートラインにつきました。

 100m決勝。

 結果は5位。やはり決勝を走り切る力は残っていませんでした。そして、予選で違和感が出たハムストリングスを負傷。この時点で最後のインカレを終えることになりました。

 4×100mR決勝はスタンドから見ました。順天堂大学は見事に圧勝し、表彰台の頂点に登りました。

 4年間を振り返ると、遠回りばかりで、順調に来たとはいえません。今思えばもっと自分の才能を信じ、長期的な視点を持って取り組めば良かったという後悔もあります。一喜一憂せず、1歩1歩進んでいく。同期で五輪にも出場した高瀬選手は先の未来を見て、競技をしていたという印象があります。長期的なビジョンをつくる。ここが最も私と違うところだったと言えます。正直もっと速くなれたのではないかという思いは現在もあります。

 ただ、高校時代はインターハイに出場もできなかった私が、最後の日本インカレで5位入賞を果たすことができた。これほど濃密な4年間というのも人生において中々ないでしょう。その点においては後悔はありません。以下に大学で記録を伸ばしていくために重要だったことをまとめておきます。

私生活を正すこと。大学生になり、生活に自由度が増すと、遊びの誘惑に負けてしまいます。大学の講義やプライべート、食生活、睡眠など、乱れている学生はもれなく結果を出すことができません。何のために大学で競技を続けるのかを見失わないことが始めの1歩になります。

体をつくること。年齢的にも自然に体が成長する時期は終わっています。科学的ウェイトトレーニングを行い、必要な食事をとることで、筋量と筋の出力を上げていきましょう。怪我の予防にもなるため必須といえます。体が変わったなと目に見えてわかる人は、記録も伸びている傾向があると感じます。

自らの頭で考える。高校までとは違い、大学ではフリータイム、自主練習をするという時間が増えることになります。ただ言われたメニューを頑張るというだけでは中々上を目指すことは難しいです。上位の選手は全員が頑張っているからです。自分の課題は何で、どんな練習をして克服していくのか、自分で考えることが求められます。必要なら、専門家に意見を聞いたり、動画を見たり、練習をしていないときにどれだけ競技のことを考えているのかも競技力の伸びに直結してきます。

 そして、根本にあるのは、陸上競技が好きであるということになります。大学で記録を伸ばせた人、卒業以降も競技を続けている人は間違いなく陸上が好きです。指導者になった今は子供たちに、陸上競技のおもしろさを伝え、好きにさせることを常に考えています。陸上競技が子供たちの人生の幸福につながることを願い、もしもう1度やりなおすならシリーズ完結とさせていただきます。

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