なんのために陸上競技をするのか?

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選手から教育者となり、陸上競技を教える立場になりました。学生時代の教育実習や講師等で子供たちと関わる機会はありましたが、本格的に陸上の指導を始めたのは3年ほど前です。名選手、名指導者にあらずという言葉もありますが、当時は陸上選手としてのキャリアが指導力に直結すると考えていました。もちろん陸上選手としての実績があるに越したことはありません。専門的な感覚などは選手としてでしか得られないからです。ただ短い指導経験ではありますが、競技力があるだけでは指導者としては不十分と言い切れます。陸上競技の専門的知識に加え、様々な知見が必要になります。とりわけ必要なのが、心の教育でした。目に見えない心など教育できるのか。その答えを教えてくれたのが、かつて中学教師として荒れた学校を立て直し、日本一を何度も育成した原田隆史先生です。

原田先生が提唱する原田メソッドは心の教育に重点を置き、人間力を高める手法です。様々なツールを使い、思考力を鍛えます。直観としてこれは間違いないと感じ、3年間多くの勉強会に参加しました。そして学んだことを実践する中で、少しずつですが、子供たちの心を変える手ごたえも感じることができました。実際に部員も2年で倍増し、全国大会や関東大会も経験しています。心の教育が競技力に直結していたのです。

よくミーティングで何のために陸上競技をするのかという問を立てます。原田先生はこれを価値観教育と呼んでいます。極端な話、記録が出せれば不正をしていいのか、他人に迷惑をかけてもいいのかということです。陸上競技を通じて、どれだけ他者に感謝し、貢献できるか。人間として成長できるかということは何度も考えさせます。そして文字にアウトプットさせ、思考に落とし込むイメージです。何のために行うのかが明確になれば、行動も明らかに変化します。ただ速攻性はありません。何度も何度も語る根気のいる教育ではあります。

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