ブロック練習とランダム練習(運動学習理論②)

スポーツ科学

 スポーツにおけるパフォーマンスを向上させるには、運動スキル、つまり運動技能を高める必要があります。技能を高めるには、練習を行い、運動を学習していくことになります。

 習得したい運動技能をひたすら反復するという方法でも、運動を学習することはできます。ただ、限られた時間の中で、より効率よく運動技能を高めていきたいです。そこで、運動技能を高める効果的な練習法について、運動学習理論の研究を元に紹介していきます。

 まずは、ブロック練習とランダム練習についてです。

 様々な種類のスポーツがありますが、どの種目も、いくつかの要素によって成り立っています。バスケットボールなら、ドリブル、シュート、パスなどです。例えば、これら3つの技能を高める場合、大きく分けて、2つの練習方法が考えられます。

 1つ目は、初日の練習はドリブルのみ行い、次に日は、シュートのみ、さらに次の日は、パスのみという集中型の練習法です。このような練習法をブロック練習といいます。

 2つ目は、1日の練習に、3つ練習をランダムに取り入れる方法です。例えば、初日の練習は、ドリブル、シュート、パスという順序で行い、次の日は、シュート、パス、ドリブル、さらに次に日は、パス、ドリブル、シュートという具合で練習を組み立てます。このような練習法をランダム練習といいます。

 2つの練習法で、運動技能の習得に差が出るかどうか実験がなされました。結論は、研究を行った3日間で比べると、ブロック練習の方が技能が向上しました。1つの技能に集中して行ったため、ランダム練習よりも、短期間で上達した可能性が示唆されます。

 しかし、この実験後、期間を開けて、再び技能をテストすると、ランダム練習を行ったグループの方が、技能が高くなっていました。

 通常は、1つのスポーツを行う場合、部活動なら、数年。体育の授業でも、数か月は期間があることが一般的です。つまり、長い目で見ると、ランダム練習を行った方が、運動技能を習得する上で効果的だと言えるのです。

 よく体育の授業で見られるパターンでは、まず、行う種目に必要な下位の技能(球技ならパス、ドリブル、シュートなど)から練習していき、数時間練習したら、ゲーム形式を取り入れていく方法があります。しかし、ランダム練習の観点で見ると、このような練習法ではなく、授業の初めの段階から、下位技能を短い時間でまんべんなく取り扱い、ゲーム形式にもすぐに入っていく方が、技能が上達します。

 陸上競技で行われる練習にサーキットトレーニングがあります。中高の部活動強豪校はよく行っている印象がありますが、様々なトレーニング種目を短時間で行うランダム練習として、有効な手段といえるでしょう。

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