あまりうまくいっていないクラブや組織を見ていると、部員や構成メンバーのモチベーションが低いと感じることがあります。部活動では、やる気のない部員を顧問の先生が叱ったり、嘆いたりする場面も多いかと思います。最近では、特に、「ゆるい」とか「楽だから」という理由で部活を選択することも多々ある気がしています。ゆるいとか楽であることも決して悪いことだとは思いませんが、あくまで息抜きの範疇であり、本質ではないと考えています。では、同好会などはどうなのか?と言われると、同好会であっても、個々や組織で目標を掲げ、成長できる活動を目指した方がよいと思っています。
では、ゆるいとか楽をしたい、本気になれない人たちは始めからそうなのでしょうか。個人的な考えですが、そうではない人も多いと思っています。本当は、成長したい、本気になりたいと思ってスタートしたはずなのです。しかし、年齢を重ねる中で、失敗体験を積み、「自分はやればできる」という能力への自信、自己効力感が下がってしまっているのです。自己効力感が低いと、大きく夢や目標を描けません。これ以上失敗するくらいなら、挑戦などしないで、ゆるい楽なことをしようとなるわけです。
これからの学校教育では、ますます、こどもの自己効力感を高め、本気を引き出すことが求められます。現代の社会全体の課題といっても過言ではありません。教師や指導者は、特に課題を明確に把握し、少しでも指導力を向上させる必要があります。目の前のこどもたちの姿は、学校や家庭、社会から受けた教育の結果であると捉える覚悟です。こどもたちが本気になれない、モチベーションが低いというのは、本人の怠慢ということもありましょう。しかし、指導者は指導力が不足していることが原因だと自覚し、まず自分を変えることをしなければ永遠に課題は解決できません。腕のある教師や指導者は、責任の方向が自分に向いており、主体変容を心がけていることは共通しています。
体育の授業での出来事です。高校生に授業アンケートをとってみると、やはり全体的に運動に対する効力感は低い傾向があります。小学生の体育も見てきた経験がありますが、もともとこどもは運動が好きです。しかし、苦手な子もいるのは確かで、学年を重ねるごとに運動への苦手意識が増してきているのでしょう。先日授業でリレーを取扱いました。走るのが嫌いというがにじみ出ている高校生がいました。そこで「個別評定」という教育技術を使ってみることにしました。個別評定は、5段階で技能を評定するというものです。リレーのバトンパスを行い、次々評定していきました。始めは、みんな、3以下の点数がつきます。繰り返していうちに、どうすれば、4以上がつくのかと考え始めます。工夫していく内に、4以上の点数がつくようになり、気が付けば、苦手な子も少しづつ挑戦するようになります。そして、バトンパスが上達してきて、4や5がついた時、驚くほど喜んでいました。(多少は点数を意図的に伸ばしているというはありますが)
このように教育技術を学ぶことで、こどもの効力感を育むことも可能なのです。もちろん、すぐに目に見える成果につながるとは言えません。毎日の小さな積み重ねが必要不可欠です。しかし、この小さな積み重ねが、こどもの本気を引き出すための唯一の手段なのではないでしょうか。
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