スプリントの技術において、原理原則、センターピンとなるものは何か?と言われたら、それは、
乗り込み動作
ではないかと考えています。
乗り込みとは、様々表現の仕方はあるかと思いますが、地面に足が接地するその瞬間を指すものと定義します。乗り込みによって、地面に力を加え、身体を移動させるため、この瞬間の技術がスプリントの成否を決める大きな要因になると言えます。
では、乗り込みが成功するかどうかのポイントをまとめてます。
まず、重要な点は、
接地に向けて殿筋群の準備ができているか?です。
接地の衝撃を受け止め、前方方向に素早く進んでいくためには、殿筋群が機能している状態をつくる必要があります。膝辺りで受け止めていると強い力を生み出すのは難しく怪我の要因にもなります。
殿筋を使うためのトレーニングは、ワンレッグ・ヒップブリッジ、FL(フロントランジ)、OLSQ(ワンレッグスクワット)、ステップアップなどがあります。これらのトレーニングをフォームを意識しながら丁寧に行っていくことで、殿筋群を使えるように鍛えていきます。
次に、接地時の姿勢(体幹の安定)があります。
正しい姿勢がとれているかどうかは、以下のような点をチェックします。
3)ヒップロックができているか
補強トレーニングやドリルの中で、1)~3)を意識して行うことで、理想的な乗り込み姿勢をとることができるようになってくるでしょう。
また、乗り込みを習得する上で有効なドリルとしては、スキップがあげられます。踵から入り母指球へぬけるイメージで行うことがポイントです。しかし、どのドリルにも言えることですが、スプリントドリルを競技パフォーマンスに繋げるためには上記のような過程を経て行う必要があります。意図が明確ではない、形式的なドリルはほとんど効果はないと考えています。(意識性の原則)
さらに、より実践的な乗り込みドリルとしては、高負荷のジャンプトレーニングも必要になってくると考えています。スプリントドリルのようなきれいな動きばかりでは中々パフォーマンスにはつながっていかないからです。乗り込めたとしても、一瞬の強い衝撃に耐えられなければ、強い反発は得られません。ハードルジャンプやバウンディング、ホッピングといった、高強度のジャンプトレーニングから逃げてはならないのです。
以上のような補強トレーニングやドリルに加え、走練習を繰り返すことで、徐々に乗り込み動作を学習することができます。つまり、体づくり(筋力トレーニング)、動きづくり(意識)、技術練習(無意識)という、意識と無意識の往復を何度も行うことが、スプリントの技能向上には求められています。

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