ピーキング

スポーツ科学

 毎年お正月に行われる箱根駅伝を見ていると、年に1度の大舞台で力を発揮する難しさを感じます。特に駅伝のようなチーム力が求められる競技では、全員が絶好調とはいかないケースがほとんどです。有力と思われていた選手が失速したり、逆に思わぬ選手が活躍したりするのも競技の醍醐味なのかもしれません。

 では、可能な限り本番に力を発揮するために必要なことは何でしょうか。今回はピーキングについて取り上げます。ピーキングとは、狙った重要な試合にベストのコンディションで臨めるように、コンディションを上げていき、そのピークを合わせることをいいます。特に陸上競技は、わずかな差で勝敗が決まるスポーツであるため、いかに調子の良い状態で本番を向かえるかに全てがかかっていると言っても過言ではありません。ピーキングを成功させるためには様々な要因が絡んできますが、1つの方法として、テーパーリングがあげられます。

 テーパーリングとは、徐々に練習・トレーニング負荷を減らしていくことです。そして、テーパーリングには、3%ほどのパフォーマンス向上が期待できるとの研究結果があるそうです。この3%の向上により1つ順位が変わることも十分考えられるため、テーパーリングについて学ぶ必要があります。

 まず、理解することは、パフォーマンスを向上させるには、一定期間練習を積み、体力を高める必要があります(ここで言う体力とは、筋力や持久力といった競技パフォーマンスの土台になる力をさします)。しかし、継続して練習をしていけば、同時に疲労もたまります。疲労が強すぎては、パフォーマンスは上がらないため、休息して回復させなくればいけません。ただ、休息が長すぎると、疲労は溜まりませんが、体力は徐々に低下していきます。 

 よって、重要な試合を向かえるにあたっては、テーパーリングを行い、できるだけ体力を維持したまま、疲労を減少させることが求められます。以下テーパリングをする上で、失敗するケースと成功のポイントになります。

失敗ケースとしては、練習を落として、疲労を抜いていく前に極端に追い込んだ練習をしすぎてしまうことがあります。例えば、重要な試合の前に強化合宿などを設定するなどです。この場合、直前の練習量は落としたとしても、疲労が抜けきらず、パフォーマンスが発揮できないといったことがあります。逆に、怪我等で練習が継続できず、体力が低下した状態だとします。この場合、練習があまりできていないため、疲労は溜まっていません。ここで通常のテーパーリングで練習量を落としていけば、今度は体力が落ち過ぎた状態で本番を向かえることになります。

成功のポイントとしては、

①強度は維持する(ウェイトトレーニングなら重量、スプリントなら走スピードなどは維持)

②量は41%~60%減らす

③練習頻度はそれほど減らさず維持

④期間は8~14日間

 行っている競技種目や状況によって、テーパーリングの方法は変わってきます。個人差もあるため、色々試しながら、自分のパターンを見つけていきたいです。その際の基本的なガイドラインとして、失敗ケースや成功ポイントは頭にいれておきましょう。

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