スタートダッシュ(速く走る方法⑨)

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 速く走る方法シリーズ、今回は、スタート局面の走りについて。

 スタート局面とは、人によって定義が異なることもあるかと思いますが、ここでは、スタートから30mくらいまでの走りとします。

 スタートが苦手という方に向け、よくある勘違いやトレーニングのポイントをいくつか述べていきます。

 スタート局面は、スピードを一気に立ち上げ、急激に加速していく局面です。体を前傾させ、1歩1歩地面に力を加えていくイメージをもつとよいでしょう。

 ここでよくある質問なのですが、「スタートでは、前傾するように言われました。でも、体がすぐに起き上がってしまうのですが、どうしたらよいのでしょうか?」というものがあります。

 これに関しては、前傾するから加速できるのではなく、加速できるから前傾できると考えた方がよいでしょう。

 加速する能力が高ければ、自然と前傾姿勢になります。逆に、加速する能力が低い段階で、前傾を意識しすぎると、体がくの字に曲がっているだけで、望ましい走りとは言えません。

 トレーニングを継続し、筋力や筋出力が増してくれば、前傾を保ったスタートができるようになるでしょう。

 次に、陸上初心者にたまに見られるケースですが、スタートの1歩目を置いてから走り出すという現象があります。

 理想は、下の画像にように、1歩目から、前足でブロックを押して、勢いよく体を前に押し出したいです。横から見ると、1直線に近い形になります。

 1歩目を置いてしまうと、どうしても勢いは弱まるし、体もくの字になります。筋力的な要因もありますが、どうも見ていると、原因は、動き出しで、足に意識がいき過ぎている気がします。

 クラウチングスタートの姿勢から、スタートする時、初めに動き出すのは、足ではなく、腕になります。腕を動かし、体の重心を前に崩すことで、スムースに下半身が動き出します。椅子から立ち上がる時をイメージするとわかりやすいのですが、足に力を入れる前に、少し体を前傾させ、重心を前に移動させています。

 つまり、号砲と同時に、まず真っ先に動かすのは、腕だとイメージしましょう。画像のアサファ・パウエル選手も、大きく腕を振ってスタートしています。足は、腕を振って、重心が崩れたら、勝手に前に出てくるくらいでよいと思います。

 そして、スタート局面に必要なトレーニングですが、殿筋を中心に、股関節を伸展させる筋群の強化は必須でしょう。ポステリアルチェーンを鍛えるトレーニングを参考にしましょう。加えて、ウェイトリフティングバリスティックエクササイズで、筋出力の向上も狙います。走りに特異的なトレーニングとしては、スレッド走坂走なども効果的です。

 殿筋群が弱い、または使えていないと思われる選手のスタートは、チョコチョコと小さな動きをする場合が多いです。1歩1歩、股関節伸筋群を使い、キックができないため、足の回転でごまかしているのです。

 スタート局面に関しては、やはり、身体的なポテンシャルが絶対不可欠な局面でもあります。球技等の選手であっても、陸上選手に匹敵するスピードを持っている場合があります。

 陸上選手にとっては、中間疾走に繋げるスタートであるため、30mまで速ければよいわけではありません。しかし、スタートが得意だと、心理的にも優位に立てることも多いです。スタートの技術を磨く練習と体づくりのトレーニングを継続していきましょう。

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