無意識の世界②

ブログ

 前回⇒無意識の世界①

 なぜ無意識の世界がネガティブになってしまうのか。実は初めからネガティブな人はいません。小さなこどもに将来の夢を聞くと、「宇宙飛行士になる」「メジャーリーガーになる」など無邪気に答えてくれます。「どうせ自分には無理だ」などとは、微塵も考えていきません。しかし、年を重ね、物心がついてくると、徐々にネガティブな思考が無意識に入れられていきます。もちろんこどもの頃の突拍子もない夢から、自分が目指せる夢や目標に変化する事は自然なことだと思います。ただ、どうも、「自分はこんなもの」「どうせ」というネガティブな思考が占める割合が増えるというのは間違いないようです。ここで言うネガティブな思考とは、意識と無意識の両方を言いますが、より重要な無意識レベルの話をしていきます。

 では、どのようにして無意識がネガティブになっていくのか。1つは、普段から目にする、メディアの情報です。基本的には、毎日ニュースで目にする情報は、ネガティブなものが多いです。犯罪や戦争、感染症などポジティブではない情報で埋め尽くされています。つまり気が付かない内にネガティブな情報を刷り込まれ続けていると考えてよいでしょう。また、SNSなども同様です。いわゆる成功者と呼ばれる人たちが、表面上はキラキラとした、羨むような毎日の様子を投稿する。すると自信がない人ほど、「それに比べ自分なんかは…」と気が付かない内に他者と自分を比べ、思考がネガティブになっていく。例を挙げると暇がないほどに、無意識がネガティブになる要素だらけだと思ってよいでしょう。

 もう1つは、これまでのネガティブな体験です。例えば、こどもの頃に、「お前はダメな子だね」などと言われてきた人は、記憶に残っていなくても、無意識の世界で「自分はだめな人間だ」とインプットされてしまいます。勉強が苦手な自分、運動が苦手な自分、容姿に自信がない自分など、多かれ少なかれ、これまでの経験が無意識をつくっていると考えてよいです。こう考えると幼少期の教育や学校教育がどれだけ大切なのかがわかります。

 ここからは、教育的観点から、無意識をポジティブにしていく方法を考えていきます。まず、陸上競技で言うなら、可能な限り失敗体験をさせないという工夫です。例えば、ハードル走なら、実際の高さより低くしたり、インターバルを短くしたりして、うまく跳べているという体験をさせます。はじめから、ハードルが高かったりすると、恐怖心やインターバルが届かなくて心地が悪かったりと、「できない」という失敗体験をインプットすることになってしまいます。砲丸投だったら、本番より軽いものを使います。軽いので、初心者でも距離が出せます。すると「以外と飛ばせるじゃないか」とポジティブにとらえることができるのです。フォームが変わるなどの問題もあるかもしれませんが、初めはそれよりもポジティブな経験を優先させるべきだと考えていきます。そして、指導者は、「できるじゃないか」と積極的に褒めてあげましょう。つまりストロークをたくさん出すのです。

 そして、やはり日誌です。今日の良かったことを見つけます。例え失敗したことがあっても、もしもう1度やりなおすならどうするで、未来への改善思考で1日を終えます。無意識のネガティブな思考というのは、確かにやっかいなものです。ただ、絶対に変えられないものではないと考えています。教育の力と未来思考を信じ、日々積み重ねるのです。

コメント

  1. より:

    ブログが更新されると拝見しています。

    ネガティブな思考とは意識の中から生まれてくる物だと思っていました。
    これまでの経験が無意識を作っていると聞くと、ポジティブ思考に変えるのは容易ではないと思えます。
    以前息子は日誌に反省点を書いていましたが、一日の中で良かった事を書いた方が良いとお聞きし、それから日誌に良かった事を書く様にしている様です。

    時間はかかるかもしれませんが、日々の積み重ねが自信につながっていくのですね。

    今日お聞きした様なのですが、走る時に必要なのは腿の前の筋肉ではなく、お尻からハムストリングにかけての筋肉とお聞きして、今までの考えが間違っていたと気付かされた様です。

    本日は寒い中ありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました