アメリカにおけるスプリントトレーニング

 先日、日本スプリント学会のオンラインセミナーに参加しました。テーマは「アメリカにおけるスプリントトレーニングとコーチング」ということで、印象に残った内容などをまとめていきます。

 紹介されていたのは、米国のアリゾナ州にて、世界的な陸上コーチであるダン・パフ氏がヘッドコーチを務める陸上チーム・Altisです。リオ五輪 男子100mでボルト選手に次いで銀メダルを獲得したアンドレ・ドグラッセ選手やロンドン五輪 男子110mハードルの金メダリストで世界記録保持者でもあるアリエス・メリット選手などの選手達が所属しており、世界トップチームの一つです。

 セミナーでは、Altisのトレーニングとトレーニングを支えるスポーツ科学についての講義でした。

 まず、トレーニングについてです。

 特徴的だったのは、トレーニングメニューは2~3週間まとめて出されていて、個別のメニューということでした。世界的な選手が集まってトレーニングを行っているため、個々の適性に応じたメニューを組んでいるようです。そして練習は週6回、そのうち、

ジムでのトレーニングのみが週2回

トラックでの練習+ジムでのトレーニングが週4回になっています。

 ジムでのトレーニングが休養日を除く、毎日行われており、体づくりがどれだけ重要か伺えます。

 ウォーミングアップはAからCの3種類があり、その日のメニューに応じて変えていました。ただ、ウォーミングアップの共通している考え方として、

 体幹エクササイズ⇒Dynamic Mobility(動的な可動性)⇒Dynamic Flexibility(動的な柔軟性)という順番に行っていることです。イメージとしては、動きの少ない静的なエクササイズから徐々に、大きく反動を使った動きにシフトしていく感じです。

 スプリントの技術的なこととしては、トロッティングというドリルやミニハードル走を重視しているそうです。トロッティングについては、為末大さんが動画紹介されていましたので、参考にどうぞ。

トロッティングについて⇒https://www.youtube.com/watch?v=JAedTFmi0wo

 ミニハードル走は、日本でもよく行われてる練習です。ハードル間の距離は選手により差はありますが、15~30台を全力で走ります。

 いずれのトレーニングも足の前さばきの習得を意識して行っているそうです。地面を蹴った足を素早く前に持ってくることで、足の回転を身体の前方で行うことを目指します。

 次にスポーツ科学についてです。概要としては、以下のようになります。

          引用 日本スプリント学会「アメリカにおけるトレーニングとコーチング」

 トレーニングとしては、筋力トレーニング、加速走とスピード持久力を高める練習を日によって行うという形です。そして、トレーニング以外で、毎日測定を行っていました。測定項目としては、

練習前⇒wellnessという疲労+睡眠+筋肉痛を得点化した指標

練習中⇒GPSを用いて走行距離を測定

練習後⇒sRPEという練習のきつさを10段階で評価

 3つを毎日測定し、選手のコンディションをコーチが把握できるようにしています。また、週2回、ハムストリングスの筋力測定とジャンプのテストを行い、身体のバランスを見て、怪我をしないようデータも管理しているようです。特殊な機器を用いることは難しいですが、部活動レベルの活動であっても、wellnessなどを把握しておけるといいと思います。

 そして、Altisのコーチ研修では、最初に、Philosophyについて考えるそうです。Philosophyとは、哲学です。つまり、あなたは何のために陸上競技のコーチになるのかということを問われます。その答えを明確に持っているコーチは良い選手を育てます。それは、日本でもアメリカでも同じことなのです。

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