8月に行われた全中陸上において、以前の学校で指導していた教え子が見事に4位に入賞しました。これまでの指導経験の中では最高の結果です。他にも、全中標準に挑戦した経験や出場を果たした経験もありますので、今回は、中学生で結果を残す選手の共通点を考えていきます。
まず、私自身の中学時代を思い返してみると、全中陸上など遠く及ばない結果でした。それもそのはずで、全中の存在すら知らないという状態だったと思います。標準記録も知らずに、目標記録もあいまいだったと記憶しています。この状態では当然、結果は残せません。地図を持たずに航海に出るようなものです。どこかにはたどり着くのだとは思いますが、全中という頂にはまぐれでも不可能です。では、全中に出場する選手はどうだったかというと、かなり速い段階から全中を意識して部活動に参加している印象がありました。中学入学の段階から、高校は長距離の強豪校に入学し、駅伝で活躍することを目標にしていたり、中学2年の段階で、高校の体験練習に参加していたりと、先を見据えて競技に取り組んでいました。このような選手は競技力向上に貪欲なため、色々なところから情報を収集しています。また、不思議なことに、支援してくれる人も多く集まって、手助けしてくれる印象もあります。結果的に、レベルの高い大会に出場し、レベルの高いライバルもでき、最終的に全中という最高峰の大会にたどり着くことになります。つまり、中学で結果を出す選手は、早い段階から目標を明確に持ち、競技に取り組んでいるというのが共通している点です。
以上のように、指導者としては、どのような競技レベルでも明確に目標を立て競技に取り組んで欲しいのですが、これが中々難しい印象です。全中に出場するレベルの中学生は、やはり精神的に成熟している印象です。対話をしていても自分の考えをしっかり持っていたり、生活面も抑えるところはきちっと抑えているイメージです。自分自身の中学時代はというと、精神的に未熟で、明確な目標はなく、周りに合わせながら生活していたと思います。実際にそんな生活が楽しいと感じていたし、それが悪いというわけではないのですが、勝負の世界となると話は別です。精神面が小学生に近い中学生より、高校生のような中学生の方が結果という意味では上になるのです。
次に、精神面と関連してきますが、身体の成長が早いということです。中学生の成長はかなり個人差があり、3月生まれと4月生まれでは、同じ学年でも身体が大きく異なることがあります。実際に競技成績と誕生日月を調べた研究では、中学生年代では、4、5月が有利という結果が出ているようです。(年代を重ねるごとに、誕生日月との関連は弱くなってくる) 言うまでもありませんが、陸上競技はフィジカルが大きく関係するスポーツです。身体が大きく、筋の発達が見られる中学生が記録を出しやすのは間違いありません。ただ、身体が小さく、記録が中々でない場合も、成長期は誰でも自然に訪れますので、毎日の栄養をしっかりとって欲しいと思います。
今回は、中学生の精神面と身体面の話となりましたが、正直こればっかりは運の要素も否定できません。先を見通し、長期的目標を持つ中学生がむしろ稀です。多くは、毎日を生きています。ただ、それも悪いことではないと最近は感じています。あまり、中学段階から、結果に拘り過ぎると、どうしても強制する指導になりがちです。確かに、中学で結果を出すことは可能なのかもしれませんが、どこか不自然で、いずれ歪が生じます。中学で活躍し、高校以降さっぱりという選手もめずらしくはありません。指導者は、目の前の選手の心身の成熟段階を見極め、指導方法を臨機応変に変えていく。個に応じた指導が今後より求められてくると考えています。
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