筋肉痛(遅発性筋痛)

スポーツ科学

 筋肉痛(遅発性筋痛)とは、強度の高い運動をした後、時間をおいて発生する筋肉の痛みのことです。

 運動をしている多くの人が経験のある現象であり、筋肉痛が強く出ている場合は、運動制限やパフォーマンスの低下、可動域や筋力低下が起こることがあります。

 筋を発達させていくには、トレーニングを行う必要があります。言い換えれば、筋に多少のダメージを与え、回復させ強くする、サイクルをつくることになります。

 この筋のダメージと筋肉痛はイコールであると誤解されることがあるのですが、厳密に言うと異なります。筋肉痛がなくとも、筋に必要なダメージがあれば、筋発達は起こるようです。ただ、過負荷の原則により、筋に負荷を与えていく中で、結果として、筋肉痛が伴うことは多くあることでしょう。

 では、どのような運動を行うと筋肉痛が起こりやすいのでしょうか?

 まず、筋活動のタイプとしては、短縮性収縮(コンセントリック収縮)より、伸張性収縮(エクセントリック収縮)の方が筋肉痛が起こりやすいことがわかっています。伸張性収縮とは、筋肉が引き伸ばされながら力を発揮することをいいます。つまり、ウェイトトレーニングで言うなら、持ち上げる時よりも降ろす時、山登りよりも山下りの方が、筋肉痛になりやすいのです。

 また、運動回数や運動速度、可動域の広さなどは、高いほど、そして、トレーニング歴が短いほど筋肉痛になりやすいです。

 では、ここからはどう筋肉痛と向き合っていくべきか考えていきます。

 まず、さきほども述べたように、筋の成長に必要な筋ダメージと筋肉痛はイコールではありません。よって、可能なら筋肉痛はないほうがよいわけです。

 ただ、そうはいっても、競技スポ―ツをしている限りは、筋肉痛を完全にさけることはできません。また、筋肉痛を恐れていてはトレーニングになりません。

 よって、まず、筋肉痛の影響を考えてトレーニングを組んでいくことが重要です。

 例えば、シーズン中にも、筋力を落とさないようにトレーニングを継続する必要があります。しかし、筋肉痛が残った状態で試合をむかえるのは避けたいです。

 このような場合は、試合の1週間前までは通常のトレーニングを行い、試合前は量を極端に減らす。そして、試合後は、また量を増やすなどの方法を取ります。トレーニング量を落としている期間が長引くと、筋肉痛が強く出る可能性ありますが、次の試合まで期間があれば許容できます。

 また、伸張性収縮を伴うトレーニングは筋肉痛が起こりやすいため試合が近い場合は注意して行います。例えば、グルートハムレイズなどは控えた方がよいかもしれません。加えて、慣れていないトレーニングも筋肉痛になりやすいので、試合まで時間がない場合は避けましょう。

 次に、筋肉痛の程度を抑えるための方法です。

 1つ目は、プレコンディショニングです。プレコンディショニングとは、筋肉痛が起こるであろうトレーニングを計画した場合、前もって、同じトレーニングを軽く行って慣らしておく方法です。数日から1週間程度前にプレコンディショニングを行った上で、通常のトレーニングを行うと、筋肉痛は出にくくなります。

 2つ目は、マッサージです。マッサージは、主観的な疲労度の軽減も期待できるため、筋肉痛が予想されるトレーニング後にオススメのリカバリーメソッドです。他にも、バイブレーションのあるフォームローラーも筋肉痛軽減の効果が期待できます。

 以上のような方法で、筋肉痛をコントロールできるように工夫していきましょう。完全に筋肉痛を避けることはできませんが、マネジメントしていくことで、トレーニングの質を高めることは可能です。

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