ロジャー・バニスター効果

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 ロジャー・バニスター効果は、1954年にイギリスの陸上選手であるロジャー・バニスターが、初めて1マイル(約1.61キロメートル)を4分を切る記録で走り達成したことにより、他のランナーに対して大きな影響を与えた現象を指します。

 1923年、1マイルの世界記録は、パーヴォ・ヌルミが記録した、4分10秒3でした。その後は、中々記録を更新する選手が現れず、専門家の間では、「4分を超えることは不可能だ」と言われるようになりました。マスコミの報道でも、「4分が人間の限界だ」という風潮になり、長年定説とされていました。

 そんな中、ロジャー・バニスターが、「4分の壁をやぶる」と果敢に挑戦します。医学部の大学生であるバニスターは、オリンピックに出てメダルをとったわけではありません。当然、周囲は、「できるわけがない」と信じませんでした。しかし、バニスターは、厳しい練習を自分に課します。60秒の全力疾走と2分の休憩という、インターバルトレーニングを10本以上行いました。

 そして、1954年5月6日、ついに3分59秒4という世界記録を更新し、人類で初めて4分の壁を突破したのでした。ヌルミの記録を更新するのに、実に31年の月日が経過していました。

 では、そのロジャーの記録をさらに更新する選手は、どのくらい後に現れたでしょう? 4分の壁を更新するのに、30年以上かかったのですから、やはり10年以上はかかったのでしょうか。

 正解は、何と、46日後です。たった46日で別の選手に追い抜かれたのです。そして、1954年の1年間で23人の選手がロジャーの記録を破っていきました。

 この話からわかることは、人間は思い込みで、現実を決めているということです。4分は切れないと思い込めば切れない。誰かが切って、「できるかも」と思えば、できてしまう。

 陸上指導をしている中でも、似たような経験をしました。ある程度練習をしているのに結果が伴わないチームがありました。その場合は、そもそも練習内容が間違っているということもあります。ただ、それ以上に「自分達は結果を出せる」と思っていない、ということが大きかったように思えます。そこで、まずは「都大会に出場」を達成しようと考え、1番可能性のある種目に賭けて指導しました。期間は短かったですが、元々のポテンシャルはあったため、無事に都大会出場権を獲得。しかも初の都大会では一桁順位までいくことができました。これ以降、「都大会に出場は難しい」という思い込みがなくなったのか、都大会で入賞する選手や関東・全国と狙える選手も出てくるようになりました。面白いことに、結果を出す選手が出てくると、チーム全体として、「できるかも」という空気感がつくられていくような気がします。

 自分が作った「思い込み」という壁は、必ず乗り越えられるのです。

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