タレントの武井壮さんと100m元アジア記録の伊東浩司さんの対談動画を見ました。スプリンターにとって大変参考になる内容でしたので、見ていない人はぜひ見て欲しいと思います。
伊東浩司さんは、主に90年代に活躍しており、100mの世界記録が9秒8台の時代に、10秒00を記録したスプリンターです。恐らく今の環境で走っていれば9秒台は裕に出していたであろう、日本スプリント界のレジェンドです。
以下は、伊東さんが考えるスプリントの極意に個人的な解釈を加えまとめてみます。
➀体の強さをつくる⇒伊東さんが指導する甲南大学の練習についてです。冬季練習中ということもあり、体づくりがメインになっているようです。1部しか動画になっていませんが、ジャンプトレーニングやレジステッドスプリントなど高負荷をかけるトレーニングを行っていました。ポイントは、だらだらとした長時間練習ではなく強度を上げた内容で、量より質を重視している印象を受けました。
②ショートスプリントができればどの種目にも対応できる⇒30mがしっかり走れれば400mまで対応できるとおっしゃっていました。これは自分の持っている最大スピードを向上させていくことが当然、スプリントのパフォーマンスに繋がるということです。そのためには①の体の強さをつくることが必要不可欠になるということだと思います。
③お尻と股関節の柔軟性⇒スクワットの姿勢を正しくする。正しいフォームでトレーニングする。といった内容ですが、非常に重要なポイントです。まず、スクワットをスプリントのパフォーマンスに繋げるには、お尻を中心としたフォームで行う必要があると考えます。そのためには、まず殿筋の筋力とハムストリングスの柔軟性を向上させることが条件になります。これらが十分でないとスクワット中つま先に過重し、膝に負荷がかかったり腰痛が出たりして、恐らくスプリントにも繋がらないのです。
④スキップとスクワットとストレッチしかない⇒余計なところを省いていくとこれらにたどり着いたそうです。個人的な解説も含みますが、スクワットに関しては先ほどの③の内容に加え、上半身の筋力と柔軟性もフォームをつくる要素の1つです。主に肩甲骨の柔軟性と筋力がポイントです。RDL(ルーマニアン・デッドリフト)やオーバーヘッドプレスはメインのトレーニングになってくるのではないでしょうか。
また、ストレッチに関しては、肩甲骨や股関節周辺を中心に行っていたようです。ストレッチで関節の可動域を広げておくと、ウェイトトレーニングのフォームを完成させていく上で効率が良くなるというのは自身の経験からも実感があります。
スキップは、踵から入りつま先に抜けていくことを意識されていました。踵からというのをイメージすることで、お尻に乗り込み、殿筋群のポテンシャルを最大限生かした走りをすることができるのでしょう。この動きは先ほどのスクワットと連動していることがわかります。お尻を中心に使うスクワットは踵に荷重して行う必要がありますから、スプリントでも同様のイメージがあるのではないでしょうか。
⑤踵の低いシューズ⇒踵が高いシューズだとつま先に荷重してしまいます。この状態でスクワットをすると、お尻が使えず、膝に負荷がかかりやすくなります。よって正しいフォームをつくる(踵に荷重する)には、踵が低いシューズを履くことになるということです。…正直ここまではわかります。私もウェイトトレーニングをする時は踵が高いシューズは履きません。ただ、ランニング中も踵が低いシューズを履くかというとそれはよくわかりませんでした。つまり私のレベルだとまだ完全にトレーニングとスプリントを結び付けられていなかったのだと思います。これがわかっていれば記録ももう少し伸びていたのかなと妄想したりします。
以上まとめてみると、このような内容に90年代に気づき実践していたということに驚きがあります。これらのスプリントの極意は今現在でも理解できている人は少数では?と思います。動画でも語られていましたが、かつてのレジェンド達の実践は今後財産として残していって欲しいですね。
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