いわゆる運動神経がよいといわれる人や運動技能が高い選手とそうでない人の違いは何か。
1つに多様な動きに対応できるのかそうでないのかがあげられます。
キャッチボールを例に考えてみます。
運動課題として、15m先の的にボールを当てるとします。
運動技能が高い選手は、15m先の的にボールを当てるという経験がなくても、徐々に対応し、当ててきます。
その理由として、様々な環境でボールを投げるという経験を積み重ねているからです。
短い距離のボールを投げたり、遠投したり、高く投げたり、低く投げたり、オーバースローで投げたり、サイドスローで投げたりと、多様なインプットがあるため、この経験の中から、15m先の的に当てるためには、こんな感じで投げれば当たるだろうと予測し、アウトプットができるのです。
逆に運動技能が低い、運動が苦手という人は、運動のインプットが乏しいため、多様な動きに対応できないと言えます。
このように、運動技能を高めていくには、多様なアプローチが効果的です。環境や条件を変えながら練習をしていくことで、運動技能をより高めることができます。
ここで考えるべき重要なポイントとして、アトラクターを構築するということがあります。
アトラクターとは、その運動のコアとなる動作を指します。
例えば、スプリントを例に挙げると、自分の走りのコアとなる動きは、乗り込みだという選手がいたとします。前年のシーズンは身体が浮いてしまい、うまく乗り込めず、力んだような動きになっていたためです。
よって、この選手のアトラクターは乗り込み動作となります。
乗り込み動作を習得するために、繰り返しの走練習をすることになりますが、ここでアトラクター(乗り込み動作)をより深めるための手段として、多様なアプローチをかけるのです。
例えば、トラックを走るだけでなく、(乗り込みを意識しながら)坂を走る、芝の上を走る、スレッドを引きながら走る、砂浜を走る、ミニハードルの間を走るなどのアプローチが考えられます。
アトラクターというメインの要素は変えずに、外部の要素を変えながら練習することが、運動技能を高める上で有効だとされます。このように変化させる要素をフラクチュエーターといいます。
ただ、あまりにもフラクチュエーターを変化させすぎるのはよくありません。例えば、高重量のスクワットという動作を行う際に、風船をふくらましたり、バランスボールにまたがったりするなどです。これらはそもそも意味がないか、危険もあるため、練習効果が高まらない可能性が高いと考えれます。
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