「試合直前のウォーミングアップでやっておくといいことは何ですか?」と聞かれたら、PAP(活動後増強)を活用した運動をおすすめします。PAP(活動後増強)とは、Post-activation potentiationの略で、筋の力・パワー発揮能力は,事前に強い筋収縮を行った後に一時的に増強するという特性のことです。
例えば、垂直跳びの記録を上げたい場合、直前に、重りを持ってスクワットジャンプをしておきます。重りを持つことで、負荷がかかり、強い筋収縮が起こります。その後一時的にジャンプ力が向上するというものです。野球選手が、打席に立つ前に、バットに重りをつけて素振りをしているのを見たことがあるのではないでしょうか。
短距離走では、チューブなどで後方から負荷をかけて走るということが行われています。大学の時も良く行っていて、レジストなどと呼ばれていました。
スタートからしっかりと地面を押していく技術を身に付けるトレーニングでもありますが、走る直前に行えばPAP(活動後増強)を活用できるのではないかと考えています。
PAP(活動後増強)を活用するポイントをいくつかあげます。
①まず、当たり前ですが、向上させたい動作に負荷をかけましょう。(例:垂直跳び⇒重りを持ってスクワットジャンプ、走り⇒レジスト、バッティング⇒重りをつけたバットで素振りなど)
②PAP(活動後増強)運動の直後は、疲労があるため、少し休む必要がありそうです。ただ、活動後増強の効果も一時的なもの(3~10分程度という研究もある)なので、あまり時間を空けすぎると半減してしまいます。陸上競技の場合、召集所にいく、直前のアップに取り入れるとよいかもしれません。
③PAP(活動後増強)運動に用いる、重量と本数についてです。重量は最大挙上重量の60~85%という研究もあるようですが、個人的にはフォームが極端に乱れない程度の負荷をかけることをおすすめします。本数に関しては、複数セット行っていきますが、個人の筋力レベルなどにより異なります。色々試してみて、最適な本数を見つけてみてください。(動画のレジストは、20mの距離を3本~5本程度で十分だと思います。)
PAP(活動後増強)に関しては、少しでも競技パフォーマンス向上の可能性があるなら試してみる価値はありそうです。個々の特性や環境に応じた最適な方法を探してみてください。
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