競技スポーツとしての陸上競技

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 スポーツの楽しみ方として、競技スポーツと生涯スポーツという考え方があります。前者は、より良い記録を目指し、競争し、上位の大会を目指すことを指します。後者の生涯スポーツとは、健康維持や、競技というよりも同好会のような楽しみ方と考えます。2つは明確な区別があるわけではなく、どちらが良い悪いという話ではありませんが(ただ行き過ぎた勝利至上主義の競技スポーツは問題視されています)、今回は競技スポーツについて記事を書いてみます。

 私は、中学から陸上競技を始め、高校、大学と続けてきましたが、競技スポーツ志向を持って取り組んでいました。高校時代のふりかえりの記事も書いていますが、朝4時に起きて朝練習を自主的に行うくらいには、上を目指していました。ただ、始めたばかりの中学時代は、それほど熱心にはやっておらず、どちらかと生涯スポーツ的にやっていたと思います。それが、陸上を続ける中で、競技志向に変化していきました。指導者として見てきた中学生も、一定数、競技スポーツとして、上を目指し高校で頑張っています。中学に入学し、いきなり上を目指す子は少数なので、自分もふくめ何かをきっかけに競技スポーツに目覚めるというイメージだと思います。

 では、どのように人は目覚めるのかを、文学作品を参考に考えてみます。まず取り上げるのは、「響け! ユーフォニアム」です。アニメ化もされている作品ですが、簡単にあらすじを紹介すると、「主人公・黄前久美子(以下、久美子)が北宇治高校に入学し、高坂麗奈(以下、麗奈)をはじめとした部活の仲間と衝突しながら吹奏楽全国コンクールを目指す青春グラフィティ。アニメでは3年生の先輩が卒業するまでの1年間を描く。」

 左が久美子、右が麗奈です。他にも登場人物はたくさん登場しますが、今回はこの2人です。2人は同じ高校の吹奏楽部で、全国大会を目指し活動しているのですが、主人公の久美子は高校に入学した時点では、そんなにやる気ありません。特にほかにやることないし、吹奏楽でいっかというレベルです。しかし、物語が進む内に徐々に吹奏楽へのスイッチが入っていきます。大きく影響を及ぼしたのが、麗奈です。実は2人は同じ中学で、吹奏楽部でした。回想で印象的なシーンがあります。

 中学でもコンクールに参加していて、久美子たちの学校は、ダメ金賞と呼ばれる上の大会へはいけない賞を取っています。ただ2人の反応は正反対のものでした。久美子は金賞をとったことに満足していましたが、麗奈は上の大会に行けない事を泣くほど悔しがっていました。久美子はそんな麗奈を見て不思議がり、「本当に全国行けると思ってた?」と言ってしまいます。

 中学時代は、吹奏楽への意識の違いから、2人は親しい間がらではありませんでした。しかし、高校で再び再会してからは、全国大会を目指す生活の中で急接近していきます。久美子は麗奈の目標に対する向上心や「特別になりたい」と言う姿に憧れ、吹奏楽へ熱が入っていきます。そんな中、久美子は高校に入って初めての挫折を経験します。練習しても中々うまくならない伸び悩みの状態です。

大会前には、先生からレギュラー落ちのような宣告を受けます。

 久美子はそこで初めて、全力で努力しても届かない目標、挫折を経験をします。思い出されるのが中学時代の大会で見せた麗奈の涙でした。挫折を経験するには、相応の努力をしなければいけない。そんなことを改めて確認できる涙でした。

 この作品から、意識が大きく変わるターニングポイントととして2つ挙げてみます。

1つは、高い志を持った仲間の存在です

 陸上競技では、各都道府県で選抜の強化練習会というものがあります。何度も見に行っていますが、やはり同じ志を持った仲間同士で練習をすることは、刺激になります。陸上に限らず、本当に力を伸ばしたいと思ったら、自らこういった場に飛び込んでいく必要があるでしょう。

2つは、相応の努力をして、挫折を経験することです。

 私も意識が大きく変わり、行動が変わったのは、高校2年の秋の新人戦でした。その時は全てが空回りしていて、努力をしているつもりでしたが、結果が出ず、悔しさから涙しています。その後、スイッチが入り、大きく記録を伸ばすことができました。挫折をするために、目の前のことに真剣に向き合ってみるということは大きく成長する条件なのではないでしょうか。

最後にもう1つ作品を紹介します。

きみの薔薇をかけがえのないものにしたのはね
きみが、あの薔薇のために費やした時間だったんだ
(サン=テグジュペリ『星の王子さま』河野万里子訳)

陸上競技をかけがえのないものにしたのは、陸上競技のために費やした時間だったんだ。

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