食育とは、生きる上での基本であって、知育、徳育、体育の基礎となるべきものです。様々な経験を通じて、「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てることが大切です。心も身体も「食」の上に成り立っているのです。
食育基本法(2005年)制定の背景には、1「食」を大切にする心の欠如 2栄養バランスの偏った食事や不規則な食事の増加 3肥満や生活習慣病の増加 4過度の渾身志向 5「食」の安全上の問題 6「食」の海外への依存 7伝統ある食文化の喪失などがあげられています。
近年では、企業が従業員の健康に配慮することで、経営面においても大きな成果が期待できるとして、健康経営が重視されてきています。
<日本人のカロリー摂取量>
日本人1人1日あたりのカロリー摂取量の推移を見ると、1946年では1903kcalで脂質が占める割合が7%でした。そこから1960~1970年代には、2226kcalで脂質20%と摂取カロリーはピークを向かえてから、減少に転じ、2010年には1849kcalと、戦後すぐの水準まで落ち込んでいます。しかし、内訳を見ると、脂質は27%と年々増加傾向になっています。
<健康の定義>
日本人の平均寿命は年々延びておりますが、健康に生活できる期間である健康寿命とは、10年ほどの差があります。単に、病気でない、虚弱でないというだけでは、健康と言えません。「身体的」「精神的」「社会的」に良い状態が必要であり、「生きること」を考える時代から、「健康に生きること」を考える時代になっているのです。
<理想的な身体>
健康で、理想的な身体は、体組成のバランスがとれた身体です。丈夫で強い身体は、脂肪、筋肉、骨、水分がギュっと詰まった重い身体です。単に痩せればよい、太らなければよいという問題ではありません。肥満とは、脂肪細胞が過剰に蓄積した状態をいいます。体重が重いことは肥満ではなく、軽くても、体脂肪が多いと肥満なのです。例えば、体脂肪率は低い力士は、筋肉や骨などの組織で体重は重いです。
<強くて丈夫な心と身体>
強くて丈夫な心と身体をつくる要素としては、
- 意識・考え方⇒ストレスが一番良くない。ネガティブなイメージを持たない。
- 身体の機能⇒食べものを受け止め、利用し、外に出す。
- 食事の力⇒組み合わせ、タイミング、食べ方。
3つの要素が、互いに影響しあい良い状態をつくりだします。強くて丈夫な状態は、体力・気力が満ちていて、回復力があります。
<体重の考え方>
体重=体脂肪+骨+筋肉+水分+飲食物であり、体内の大切なものは重くなっています。身体の状態が良くなると、骨量アップ、筋肉量アップ、水分が増えて潤うと体重が重くなります。密度が上がり、同じ重さでも引き締まるため、体重にこだわりすぎないことが大切です。
<人間が本来もつ3つの力>
- 適応力⇒環境に対して、身体の機能を順応させていく力。自律神経とホルモンのバランスを整える。
- 免疫力⇒病気になるかどうかを左右する。体温と腸内環境のバランスを整える。
- 自然治癒力⇒病気になっても、自ら治る力が備わっている。体力と代謝を強化する。
<代謝>
代謝とは、体外から取り入れた物質(食べもの)を用いて行われる生体内の化学反応のことです。生命活動そのものといえます。
代謝には、外界から取り込んだ物質をより簡単な構造に分解し、変化させる過程でエネルギーを産み出す、分解反応。低分子の物質を高分子の物質に再合成していく作用である、合成反応があります。分解反応で作り出したエネルギーを使って、合成反応を行うことが、生命活動の基本です。
代謝には、古いものが新しいものに次々に入れ替わる、新陳代謝。身体の正常な機能を保つのに必要な生体の機構である、内分泌代謝があります。
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