スランプ②

コーチング

③無意識に行っていた動作を意識的に変えた時⇒普段は何も考えずに行っている動作を意識に変えようとすると、動きがぎこちなくなり、パフォーマンスが低下することがあります。スポーツの動作は、基本的に一連の動きになっており、その1部を切り取って意識的に変えると、スムースに動かなくなると考えています。運動学習の研究においても、自分の内部に意識を向ける、インターナルフォーカスより、外部に意識を向けるエクスターナルフォーカスの方が高いパフォーマンスを発揮することがわかっています。つまり、腕や足の細かい動きを意識しすぎると、スランプに陥る可能性もあります。ちなみに為末大さんは、スランプになった時、鈴を持って走っていたそうです。動きを意識しすぎないよう、鈴の音に集中することで、無意識の動きを取り戻そうとしていたと予想します。ただ、今以上のパフォーマンスを出そうとすると、どこか意識的に変えなくてはならない段階が訪れることがあります。意識と無意識の行き来ができるというのもスランプを脱出するために重要なのかもしれません。

④怪我の影響⇒怪我によりパフォーマンスを落とす場合もあります。痛みがある時に無理して運動することで、無意識にかばうような動きになってしまうことがあります。その後、動きのメカニクスが狂い、スランプになる。例えば、足首を捻挫することで、お尻の筋肉の出力が落ちたりします。大きな怪我をした時は、専門のトレーナーに治療とリハビリをしてもらい、身体のバランスを整える必要があります。

⑤身体の変化⇒体重の増減はパフォーマンスに関係してきます。特に走・跳種目は自分を移動させるため体重が重すぎたら不利になることは予想できます。ただ、筋肉量を増やすこともパフォーマンス向上に必須なわけでそのバランスが難しいです。世界レベルの大会などでは、身体が大きく、体重もかなりありそうでも、速い選手が多いです。学生レベルでも、筋肉がついたと目に見えてわかる選手は記録が伸びていることがほとんどです。しかし、どこまでも、単純にウェイトトレーニングをして体重を増やせば、誰でも速くなるかというとそうでもないというのが実感です。私見ですが、個人によって、パフォーマンスを発揮しやすい、体重や身体のバランスがあると考えています。そこを見誤ってしまうと、スランプ状態になることも考えられます。

 最後に、いくつかスランプになる原因を上げましたが、絶対的な答えはありません。自分と向き合い、解決していくしかないのです。それでも1つ確実に言えることは、スランプを抜け出したいなら、価値観を見失わないことです。陸上競技に対する価値観が下がってしまえば、他のことに目移りし、戻ってくることはないでしょう。しかし、苦しみに耐え、スランプを乗り越えることができれば、大きく成長することができるはずです。

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