うまくいかないチームの再建

チームづくり

 いくつかの中高陸上部のチームを見てきましたが、うまくいかないチームの特徴について、現段階の考えをまとめていきます。

 ぱっと見て、これは厳しいなというチームは、まず、選手が指導者を信頼していないということです。

 指導者が信頼されない理由としては、指導者に明確な指導理念がないということに集約されます。どんな選手を育てたいのか?どんなチームにしたいのかというビジョンがないのです。

 基本的に、組織、チームはリーダーの熱量で決まります。リーダーの熱量が高ければ、入部してくる部員もそうなっていきます。リーダーが逃げる姿を見せたら、一気に組織は瓦解していくでしょう。

 もちろん、全指導者が高い熱量を持っているわけではありませんし、専門的な指導ができるわけではないでしょう。

 しかし、短い時間でもいいので、活動時、その場にいること。声をかけてあげること。話を聞いてあげることはできるはずです。一緒に考えてみようという姿勢です。

 スポーツクラブではなく、教育の場として、部活動を捉えれば、大崩れはしないのではないかという実感があります。

 次に、ルールがあいまいで、明文化されていないことです。

 これは、指導者、リーダーが、あらかじめ、部のルールを最低限つくっておくことです。入部する際に、この学校の陸上部はこのようなルールで運営していきますということを文章で提示し、読ませ、入部届を提出させた方がよいでしょう。

 特に、文化・伝統のないチームは、共通のルールがなければ、指導者と部員の間でトラブルが起こりやすいです。

 例えば、指導者は、大会出場を目指していて、大会に出ることが当たり前だと考えていたとします。しかし、事前に説明がなければ、そもそも、大会に出るつもりではない部員としては、聞いてないよーということになります。

 また、練習を欠席する際の連絡はどのようにするか?等も決めておかなければ、どんどん規律はなくなっていきます。勝手に休んだり、すぐに大会を棄権したりすることになります。

 このような崩壊部活になることは、通常、指導者は望んでいないはずです。やる気のある部員にとっても、よくありません。

 この場合、先に述べた、指導理念を指導者が考え、ルールに反映させるしかないでしょう。

 例えば、この部は、競技スポーツを目指しており、自己記録に挑戦することを目標にしています。それに賛同できる人は入部してください。または、大会参加は自由です。しかし、部の練習を通して、体力を高め、仲間と協力するチームを目指します。それに賛同できる人は入部してください。など、その時の指導者の思いを明文化します。いずれにしても、教育の一環として行われる活動ですから、人間力の向上という側面は外さないようにします。

 このように、指導理念が明文化されていれば、ミスマッチは減ります。または、それでも部のルールを守れない場合には、明文化されたルールを根拠に指導できます。それでも、従いたくない場合は、退部といった処置になっても仕方がないと思います。少し、極端な例ですが、ほぼ無償で部活動顧問をさせられているわけですから、そこは強気にいってよいと考えています。

 3つ目に、指導者がAチームを育てることに目がいっていない。ということです。

 組織には、2割のやる気の高いリーダー層、6割の中間層、2割の足引っ張りが存在します。これを組織のABC理論といいます。

 うまくいかないチームは、足引っ張りの2割が幅を利かせてしまっています。そして、指導者が足引っ張りに気を取られてしまっているのです。

 この場合は、2割の足引っ張りではなく、Aチーム、つまりやる気のあるリーダー層をまずは育て力をつけます。すると、6割がやる気のある方に流れ、8割が頑張るようになります。この段階で、ようやく、足引っ張りへの対処を考えることになります。順序を間違えると、Aチームが力を発揮できず、組織が死んでしまいます。

 以上のようにまとめると、やはり組織はトップが規定していることがわかります。部活動でしたら、主の顧問です。確かに、専門種目であろうとなかろうと、希望の有無を問わずに、ほぼ強制的に部活動顧問をさせられることには問題があります。ただ、組織づくりについて、学びを深めれば、他の教育活動にも転用できますから、今回の記事が少しでも役に立てればと思います。

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