つま先の向き(速く走る方法⑯)

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 速く走る方法シリーズ、今回は、つま先の向きについて。

 つま先が下がらないようにしましょう。

 これもたまに聞く指導言です。

 恐らく、接地に向かう際のつま先の向きのことを指しているのだと思ます。つま先が下がっていると地面をつっつくような接地になり、ブレーキがかかるというロジックなのでしょう。

 これに関しては、言いたいことはわからなくはないが、走っている時につま先って意識する必要ある?というのが個人的な意見です。

 これまでの速く走る方法シリーズでも何度も述べていますが、スプリントにおいて、つま先のような身体の末端部を操作しようとするのは、あまり効果的ではないというのが実感です。

 少なくとも私はつま先を意識して走ったことはないですし、指導していても、極端につま先が下がり、地面をつっついてブレーキをかけながら走っている選手を見たことがありません。(もしかしたらそういう選手がいたのかもしれませんが、私の目では確認できませんでした。)

 やはり、スプリントは、股関節などの身体の中心部から力を発揮して、つま先等の末端部はそれに伴って無意識に動かされる、とイメージした方がよいというのが現時点での考えです。

 ただ、トレーニングをする際には、つま先について意識した方がよい時もあるのでいくつか紹介します。

 1つはプライオメトリクストレーニングをする時です。

 プライオメトリクスをする際には、なるべく短い接地時間をこころがけたいです。筋(腱)の伸張反射を利用することで、トレーニング効果を高めることができるからです。

 ドロップジャンプがわかりやすいと思いますが、つま先を少し上に上げておいた方がバネのようにジャンプできます。つま先を上げることでアキレス腱が伸ばされ、伸張反射をより使える状態をつくれるのです。

 次は、特殊な例かもしれませんが、陸上を始める前に、新体操などをやっていた選手の場合です。体操系の選手は、競技特性上、つま先を伸ばして演技することが多いです。

 元体操系の選手に腿上げやハードルをまたぐような練習をさせると、つま先を伸ばして行うことがあります。たぶんクセになっているのだと思います。

 ただ、不思議なことに、走るとつま先の向きは通常になります。

 よって、このような選手がいるときには、陸上では足首に力をいれなくていいよと伝えます。慣れてくれば、自然な動きになっていきます。

 結論としては、走ってるときにつま先の向きは考えなくてよいですが、トレーニングや人によっては少し意識する必要があるかもしれません。

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